「みーちゃん、夏苦手だもんね」



トーストにかぶりつきながら、私を見るまどか。



「そうよね…。貧血とか、大丈夫?

食べられるものでいいから、ちゃんと食事はしなさいね?倒れちゃうから」



心配そうな聡子さん。



「はい……」



微笑を浮かべて返事をする私。


端から見れば、きっと“仲の良い家族”。





実際、仲が悪いわけではない。


私が勝手に距離を置いているだけ。


馴染めない…だけ。



まどかは明るくていい子だし、
聡子さんもサバサバしていて気持ちのいい人だ。


変に私に気を遣ったりしないし、かと言って干渉したりもしない。


でも、ちゃんと気にかけてくれる。


嫌いなわけじゃない。


だけど……



「私、そろそろ行きます」



鞄を掴んで立ち上がった。