「夏期講習。」
素っ気なく答えたものの、
「そっかぁ。受験生だもんね…大変だ」
言いながらジュースのビンに手を伸ばして、そのままゴクゴク飲み干した。
「こらっ、窓花(マドカ)!
ちゃんとコップに移して飲みなさい!」
そこへ、タイミングよく現れた聡子さん。
キッチンからトーストを持ってきてくれたらしい。
「いいじゃん。もう残り少ないんだし……」
ぶつぶつ言いながら、まどかはトーストに手を伸ばす…も、
「ちゃんと座って食べなさい!」
じろっと睨まれて、渋々席に着いた。
……私の隣に。
「はい、実咲ちゃんもどうぞ」
聡子さんはにっこり笑って差し出してくれたけど、
「ごめんなさい、食欲なくて……」
私は丁寧に断った。