「ん?」
まるでひき止めるみたいに、航くんの腕を掴んでしまった。
「どうかした?」
「えっと…その…」
不思議そうに私の顔を覗き込む航くん。
言葉が出ない私。
ほとんど無意識だったから。
なんて言ったらいいのかわからない。
ただ……
「……やっぱり、泊まってもいい?」
帰ったらいけないような気がした。
今、航くんを1人にしちゃいけない。
なんとなくだけど、そう思ったから。
「え…?俺は別にかまわないけど……いいの?明日早いんでしょ?」
ぎゅっと掴んでいた私の手をそっと外して、指を絡めるように握り直しながら、見つめてくる航くん。
「そうだけど……。早起きすれば大丈夫。」
朝、一旦家に戻ってから行っても十分間に合う。
今から帰ったって、どうせ何もできないだろうし。
だったら、無理して帰る必要なんてない。
「今日は、航くんと一緒にいたいの。」
心配、だから――