最近、航くんの口からまどかの名前がよく出てくる。
まるで、母親に1日の出来事を話す子供のような気軽さで、航くんはまどかのことを報告してくれる。
たぶん、私に気をつかってくれているんだと思う。
そこに、特別な意味があるわけじゃない。
わかってるんだけど……
「マドカって、見事にみさきさんとは正反対だよね。
からかい甲斐があるところは似てるけど。」
楽しそう微笑む航くん。
「“妹キャラ”っていうか…
悟なんてすっかり気に入っちゃってさ。」
……なんか、嫌…なんだよね。
だって……
「マドカって、みさきさんのこと“お姉ちゃん”って呼ばないんだね?」
なんで“マドカ”なの?
「みさきさんってさ……」
なんで私は……
航くんは、全然気にしてはいない。
でも、私はすごく気になって仕方がないんだ。
今さら、って感じだけどでも……
「ねえ、航くん……」