さも、それが当然かのように私を覗き込む航くん。
……ダメだ。
その瞳には勝てない。
「ご…ご飯は?」
作りかけの料理に視線を移して、アピールしてみたけど、
「あとでいい。今は“食欲”じゃないものを満たしたい気分。」
あっさりと顔の向きを戻されてしまった。
「お…おばさんは?今日は帰ってくるんでしょ?」
「来るけど…たぶん日付変わってからだと思うよ。
飲み会とか言ってたから、帰ってきてもそのまま寝るって。」
「そう…なん……」
言い終わらないうちに、唇がふさがれた。
そして、そのまま……
……幸せ、なんだ。
航くんの腕の中が一番落ち着くし、
いつだってこうなることを望んでいる。
でも、今日は……
まどかのことが気になって仕方ない。
誰が悪いわけじゃないんだけど……
でも、やっぱり……