……航くんは、やっぱり何もわかってない。


まどかの気持ちになんて、全然気がついてない。


まどかが、どんな想いで
“許す”と言ったのか…なんて。


なんか……複雑だ。



「……今日も、泊まっていけるんだよね?」



耳元で聞こえてきた声に頷けば、



「よかった。マドカにもちゃんと言ってきた?」



抱きしめる腕に力をこめながら、からかうように笑う航くん。







……残酷、だよなぁ。


航くんは、無邪気でまっすぐで絶対に嘘はつかない。


それをわかっているからこそ、まどかはきっと傷ついた。


航くんがまどかに言ったことは、私にとってはこの上なく嬉しい言葉で、

そこまで深く想われて、私は本当に幸せだと思う。




でも……




まどかにとっては、相当キツかったはずだ。


だって、自分の好きな人の口から他の誰かへの想いを聞かされるなんて……


しかもその相手が、“姉”である私だなんて……


私だったら、耐えられない。












「……今日は、いいの?」