「だから“彼氏”になりたいんだ。そしたら、会う約束ができるじゃん?」
一転して、瞳を輝かせる航くん。
「そう…だけど……でも、別に彼氏じゃなくたって……」
“後輩”のままでも、
“友達”でも、約束なんてできると思う。
連絡が来れば、私だってちゃんと応じるよ?
そこまで冷たくはない。
「“彼氏”じゃなきゃダメなんだよ。
“特別”にならないと、先輩の傍にはいられないじゃん。
いたらおかしいでしょ?」
……よく、わからない。
“恋人同士”じゃなくても、普通につき合いは続けられるよね?
一緒にいたって、おかしくないよね?
疑問だらけの私に、
「とにかく、俺のことを嫌いじゃないなら俺とつき合って?試しにでいいから」
航くんは続ける。
「好きな人ができるまででいいから。もし、先輩に好きな人ができたら、俺はすっぱり諦めるから。」