「な…なんで?」
そんなの初めてだったから。
私は、どう反応すればいいのかわからなかった。
戸惑いながら、航くんを見れば、
「好きだからに決まってるじゃん」
あっさりと言われてしまった。
「好き……?」
航くんは黙って頷いて、続けた。
「俺は先輩のことが好きだから、先輩にも俺のことを好きになってほしい。」
まっすぐな瞳。
「それまで頑張るつもりだったけど、先輩、もうすぐ卒業しちゃうじゃん?」
……そうだ。1週間後には、私はもうここにはいない。
お気に入りの図書室ともお別れだった。
「学校が離れたら、接点なんてなくなる。会わなくなる。
好きになってもらう前に、先輩は俺のことなんて忘れちゃうでしょ?」
寂しそうに見つめられて、なぜか心がキュッとしめつけられた。
なんか、捨てられた仔犬みたいな目をしていたから。