「ねぇ、航くん…?」
完全に寝る体勢に入っていた航くんに呼びかけた。
少し顔を上げれば、すぐに視界に飛び込んでくる近さ。
いつものように、ぴったりくっついている私。
「んー…?」
目は閉じたまま、私の髪を指に絡めていじっている航くん。
茶色くてゆるいウェーブは生まれつき。
この長さに保っているのは…やっぱり航くんのためなんだと思う。
癖…なのかな?
寝るときとか、必ずこうやって触れてくる。
それがすごく心地いいから。
「航くんは…私のどこが好きなの?」
「は?」
航くんの手が止まった。
そして、パチッと目を開いて、
「なに?急に」
すごくびっくりした顔で私を見た。
「いや…なんとなく……」