「なにっ?」



突然声を張り上げた私に、航くんはびっくりしたように顔を上げた。


一瞬にして、今まで首筋にあった熱が引く。


名残惜しさを感じつつも、それどころじゃない。



「これからがいいとこなのに……」



また恥ずかしいセリフを口にしながら、航くんは恨めしげに私を見下ろしている。



「で、なに?どうしたの?」



言いながら、思いっきり顔を近づけてくる航くん。


ち…近すぎて、しゃべれない。


顔を背けて、必死で引き離そうとするものの、航くんも負けじと接近してくる。


これは…わざとやってるな。


どうやら、機嫌を損ねたらしい。



「ここ……」



私は、やっとの思いで言葉を絞り出した。



「リビング…でしょ?」