「何考えてるの?」
はっとして振り返ると、すぐ傍に航くんが立っていた。
「ここに来てから、ずっとボーッとしてる」
少し不満気に言って、私の隣に腰をおろした。
「…なんでもない」
言いつつも、視線を外して黙り込む私に航くんは大きくため息をついた。
そして、
「一緒にいるときは、集中して?」
私の顔を両手で包んで自分のほうを向かせると、まっすぐに顔を覗き込んできた。
「……ごめん」
その瞳を見ていたら、
なんだかすごく申し訳ない気持ちになってきて、私は小さく謝った。
……ん?でも、
「“集中”って何に……」
私の言葉は、言い終わらないうちに塞がれた。
触れ合った唇から、身体中に熱が伝わる。
「もちろん、“俺”に」
ゆっくり顔を離して意地悪っぽく微笑むと、航くんは再び顔を近づけてきた。
あ……
私は、無意識に目を閉じる。