慌ててコウちゃんのほうを振り返れば、その瞳はまっすぐにみさきちゃんに向けられていた。


え…?



「行けるなら、行こう?」



コウちゃんの言葉に、



「あ…うん」



はっとしたように、みさきちゃんはこっちに向かって歩いてきた。


これは……



「貸して。」



慣れた様子で、みさきちゃんから荷物を奪うコウちゃん。


そのままその手を絡め取って、ぎゅっと握りしめた。


そして、



「“お姉ちゃん”借りてくね」



私ににっこり笑いかけると、もと来た道へ向き直った。



「マドカ、あのね…え?ちょっ……」



私を見て何かを言いかけたものの、歩き出したコウちゃんに引っぱられるみさきちゃん。



「じゃあ、マドカ。また月曜日に!」



軽く手を振ったかと思えば、
ためらいもなく遠ざかっていくコウちゃんの背中。


戸惑いつつもついていくみさきちゃん。



私は、


見つめることしかできなかった―――