「でも、名字が違うから……」
「あ、うちは母親が再婚したんです!だから、私も中学に入るくらいに変わって……」
「そっか」
やさしく微笑むと、先輩はふいに手を伸ばした。
そして、
「久しぶりっ。すっかり大きくなっちゃって」
とびっきりの笑顔を向けるなり、がしがしと私の頭を撫でた。
ドキッとしたのも束の間。
鮮やかに蘇る記憶―――
……そうだ。
昔もよく、“コウちゃん”はこうして、私の頭を撫でてくれた。
「マドカはえらいね」
とか
「よく頑張った!」
とか
「もう泣くな」
とか……
褒めてくれたり慰めてくれたり。
いつだって、私の味方でいてくれて、傍にいてくれた。
大好き、だったんだ……