「はぁっ?おまえ何言って……」
友達の言葉に、慌てて立ち上がる先輩。
「まあまあ、いいじゃん。
おまえならできるって」
ポンポンと笑顔で肩を叩く友達。
「やだよっ。おまえがやれよ」
「いやいや、ここは譲ってやるよ。忙しいほうが、気が紛れて寂しくないじゃん?」
「俺は別に、寂しくなんか……」
ふたりの言い合いに注目が集まる。
特に、女子のみなさん。
熱い視線は、近くにいる私にも伝わってくる。
ここは一番後ろの席。
みんな、たった今先輩の存在に気がついた、って感じだ。
「じゃあ、委員長は水沢くんってことで。副は……」
「は?ちょっ……」
先生は、さらさらと黒板に名前を書く。
「……最悪。」
それを見て、観念したかのように先輩はおとなしく椅子に座った。
「あとで覚えてろよ、悟」
じろっととなりの友達を睨み付けながら。