「え……?」
しゅんとしたまま突っ立っていた私に、先輩は自分の隣の席を指差した。
「い…いいんですかっ?」
先輩のとなりっ?
教室には、まだちらほらとしか人はいない。
席はまだ十分たくさんある。
なのに、となりに座っていいなんて……
うわぁっ。
たちまち私の心は回復。
「失礼しますっ」
そう言って、椅子に手をかけたとき……
「お!いたいた!」
教室に響いた大きな声。
びっくりして振り返れば、ひとりの男子生徒。
短い髪にがっしりした体格。
ほどよく日焼けした肌。
なんかいかにも“スポーツマン”って感じ。
「なんだよ…お前も一緒?」
その人を見るなり、先輩はうんざりしたように呟いた。