そして……



「ありがとうございました!」



1年生の教室が並ぶ校舎の前。


私は頭を下げた。



「いいえ。次からは気をつけてね」



“王子様”は、私ににっこり笑いかけてから来た道を戻って行った。


私は、倒れる寸前。


あんな、悩殺スマイルを……


うわぁ……


すっごいドキドキだよ。



歩いている間中、私は何にも話せなかった。


ただ黙って、ついて行っただけ。


私に合わせて、ゆっくり歩いてくれていたのに……



名前くらい聞けばよかった。


あ、学年は?


上履きの色をチェックすることすら忘れた……


最悪だぁ。


帰ったってことは、やっぱり先輩だよね。


学年は違っても、あれだけの容姿だもん。


ちょっと調べればすぐにわかる…よね?