とりあえず、己の勘を信じて右に曲がってみた。
人気のない廊下をつき進む。
なんか、違う気がするなぁ……
「……戻ろう」
足を止めた、そのとき……
「ねえ、ちょっと。」
人の声がして、思わずびくっとした。
「そこの…“新入生”っぽい子……」
男の子の声。
明らかに私に声をかけてるよね?
いつの間に?どこから現れたの?
恐る恐る振り返ると……
「そっちは、何にもないと思うよ」
立っていたのは……
「もしかして、迷子…とか?」
呆れたように私を見下ろす1人の男の子。
……先輩、かな?
ほどよく着崩した制服。
少しだけ茶色い髪の毛。
背も高くて……
何より……
「……っ!!」
ものっすごくカッコイイ。
……一瞬にして、私の心は奪われてしまった。