来た道を戻り、
修斗は、家路に着く。



修斗が帰り着くと、
同級生の仂哉が、
修斗の家の前の本屋の入口で立ち読みしていた。


「仂哉っ」

「あぁ、シュウ」


仂哉は、
読んでいた本を戻して、
修斗へと歩み寄っていく。


「まだ帰ってないって言うからさ、
立ち読みしてた」

「家の中にいればいいのに」


そう言葉を交しながら、二人は、
修斗の家の中へと入っていった。


「おじゃましまぁす」

「どうぞ~」


奥から
修斗の母親が返事を返し、
二人は、
二階の修斗の部屋へとあがった。


部屋に入ると、

仂哉は、
ローソファーに座り、雑誌を手に取り、

修斗は、
ベッドに倒れ込み、
リモコンでCDをかける。


「あっそうだ。
澄香と会ったよ。
再会したの、おとどしくらいだけど」


「澄香?」


「仂哉、覚えてない?
小学校のとき、小さな女の子と出会ったじゃん」


「小学校のとき?
十年も前じゃん」


「うん、
覚えてない?
さくら園ってあったじゃん」


「あぁ~、養護施設?」


「うん、そう。
そこにいた女の子。
七五三か何かで着物着てた小さな女の子、
神社で出会ったじゃん。
その後、
俺が、夏祭りに連れてきた」


「?…

あぁ!」


「思い出した?」


「うん、思い出した」


「あの子と偶然、
家の前の本屋で会ったんだよ」


「へぇ」


「家族が出来たんだって」


「そう」


「あぁ。

さくら園からいなくなったから心配してたけど、
今の親護さんと、
幸せに暮らしてるらしい。
澄香、
しゃべるようになってて、表情が明るくなってた。
とっても幸せそうだった」


「そうか。
良かったな」


「あぁ」