あれから数日が経った。

何事もなかったかのように棗くんは話しかけてくる。
まぁ何もなかったんだけどね!

そして5月になった。


額にうっすら汗が浮かぶ季節。

微妙な季節だ。


暑くもないし、寒くもない。


「理衣奈?」


この微妙な暖かさというか、暑さというか…

そのせいで若干汗をかく。


それが嫌なんだ。


「り・い・な?」


大体、日本って四季がはっきりしてるって言うけど、
ちゃんとした始まりの月なんてないじゃない。


だって3月からもう春だ!とかいう人いるけど、最近の3月はまだちょっと寒いし…


「…理衣奈!!!」


「ぎゃっ!ど、どうしたの?」


優里に耳元で、しかもかなり大きい声で名前を呼ばれたのでびっくりした。


な、なんかものすごい怒ってる……?