「どうしたんだよ。入らねぇなら先入んぞ」


未だにドアの前で立ち止っている准を放って、教室に入った。


教室に入った瞬間感じる視線。


んだよ、そんなに珍しいか?

つーか俺っていつもこんなんじゃなかったっけ?


夏休みに入る前のことなんて覚えてねえわ。



あ、そうだ。理衣奈が好きな苺ミルク買ったんだった。


「ん、これやる」


「わ、苺ミルクだ!ありがとう、棗くんっ」


あーあ。なんでこいつってこんなに可愛いわけ?

どうやら俺をどうにかさせたいらしい。


あー、キスしてえ。


「なっ…ななっ!」


嬉しそうに微笑む唇に触れるだけのキスをした。


うん、しょうがねえよな。

体が勝手に動いたんだから。


一気に顔を真っ赤にさせ、俺を見上げるこの可愛い物体の頭をぽんぽんと撫で、自分の席へ向かった。