「お前もちゃんと言えよ」


「え?」


「さっきのは酒入ってただろ。だからもっかい言え」


「ヤ、ヤダよ」


「俺には言わせたのに?お前は言わないんだ。へー」


うっ。ごもっともです…

矛盾してるのは分かってる。


だけど恥ずかしいよぉ…


でも言うしかないよね。



だって棗くんは、私に言ってくれた。


「……き」


「あ?」


「…好き……」


ああああ、恥ずかしいよおおお!


「よくできました」


―――そう言った彼の顔は、今までに見たことのないとびっきりの笑顔でした。



か、可愛い…




なんてことは言えなくて。


私たちはしばらく見つめあっていた。



長い沈黙を破ったのは棗くん。


「送る」


え?もう…?

まだ一緒にいたいのに……