ていうか私、さっき落ち込んでたよね?

…なんかもうどうでもよくなっちゃった。


棗くんはゆっくりしたいから帰るって言っただけみたいだし。

別に落ち込むようなことじゃないよね。


「おい」


そうだ。棗くんの家ってどんなんなのかな。

お部屋とか汚そうだなぁ。


「聞いてんのか」


あ、でも意外ときれいだったりして!

うーん、ワクワクする!


「……」


急に頭を掴まれ、棗くんのほうへ向けられる。


「てめぇ、俺を無視すんなんていい度胸じゃねぇか」


ドス黒い声で言った。

その時の顔はまるで鬼の形相だった。


「ひぃっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「こっちは何度も着いたぞっつってんだよ。ちゃんと意識ここに置いとけ」


「はーい…」


って、今着いたぞって言った?

ずいぶん早いなぁ。近いのかな。


あ、私が1人の世界に入りすぎてたのか。


ごめんね棗くん。