と、歩くこと数分。
無理矢理連れてこられたのはお化け屋敷だった。
棗くんは涼しい顔でお化け屋敷を見つめている。
「な、棗くん?」
「ん?」
「あの…これ、入るの?」
「え、もちろん」
眩しいくらいの笑顔でそう言うと、またお化け屋敷に目を向けた。
今の私の顔は最高に引きつっているだろう。
そう、何を隠そう、私はお化け屋敷が大の苦手なのだ。
もう苦手っていう領域を超えてると思う。
お化け屋敷に入ったその日は1人で寝れなくなるほど。
だから必ずお姉ちゃんと寝ていた。
棗くんは…私がお化け屋敷苦手なの知ってて連れてきたのかな…
でも、そんなの知るはずな…いや、お姉ちゃんなら教えそうだ。
どちらにせよ、私には無理!
何をされても絶対に入らないんだから!
そう固く決心したところで、棗くんが腕を引っ張った。