「あ…」


「ん?どうした?」


「寝癖直すの忘れた!!」


「ぷっ。今更~?」


ミラー越しに安那ちゃんが笑う。


「ゴム使う?」


「いいの!?」


「どうぞ」


そう言ってにっこり笑い、信号にさしかかったとこでゴムを渡してくれた。

髪の毛を集め手ぐしでとき、急いでしばる。


「あ、くしも貸した方がよかった?」


「あー、いいよいいよ!すぐ帰ってくるわけだし!」


「そ?じゃぁいいや」


とうちゃーく、と言って車を止めた。


「はい、降りてくださいねー」


可愛らしい声で言い、ドアを開けてくれた。


「ありがとー!」


安那ちゃんが「先に入ってて」と言ったので、先に入る事にした。