京介はいびつに歪んだ床の上に、座布団一つ敷かないで座っている。


勝手に台所から茶を注いだコップを持って部屋に入ると、まるでいつも来ているかのように窓を開けて外を眺めていた。


「京介」
 

僕が呼んでもお構いなしだ。


微笑むように外を見て、時々ふみを傍に呼んで肩を抱いた。


その姿はまるで仲の良い親子のようだったけれど、ふみの顔は笑ってはいなかった。
 

何をしに来たんだとは聞けなかった。


ふみをもらいに来た。


そう言われたら返す言葉なんてないからだ。
 

哀れんでいるのか。


そう聞こうにも、京介の愉快そうな顔は、楽しんでいるように見えた。