「ただいまぁ」
「おぅ。おかえり、みぃ」
「ちょっと!その呼び方やめてって言ってるでしょ!?」
「気にすんなって♪」
 はぁ。兄貴の龍(りゅう)は、いつも私のことを〝みぃ″って呼ぶ。龍兄は〝神無月″ってチームの総長だ。私はみぃじゃない!美蘭だ! それに対して弟の龍空(りく)は、
「おい!美蘭!」
 呼び捨て・・・。ヤンキーなんだから、〝姉貴″とかじゃないの?
「みぃ。今までどこ行ってた?」
「ぇ・・・?]
 いつもは聞かないのに・・・。
「どぉしたの?いつも聞かないのに」
「どおしてって・・・。みぃの体が傷だらけだからじゃねぇか」
「ぁっ!」
 忘れてた。どうしよう。レディース脱退したこと言ったら、悲しむのかなぁ・・・。
「どうした。レディース脱退でもしたのか?」
「っっ!」
「脱退・・・したんだな?」
 私は何も言えず、コクリとうなずいた。
「なんで脱退したんだ?恋でもしたのか?」
「はっ・・・?何で恋?」
「女がレディース脱退したときは恋したときだっていうからな」
 龍兄は笑いながら言った。
「龍兄。恋なんかしてないよ・・・」
 うん。そうだ恋とかする気ないし。
「じゃあどうして脱退したんだ?」
「しばられるのがイヤになったから・・・」
「そうか・・・」
 それからしばらく龍兄は黙ったままだった。

「俺は何もいわねぇよ?みぃの決めたことだからな」
「龍兄・・・」
「みぃも恋でもしろよw」
 恋・・・か。
「恋なんかしないよ。恋愛の意味すら分かんないし。」
「wみぃもまだまだだな♪」

 恋なんてしない。
 この時、私はそう思っていた・・・。