コップを持って
部屋に戻り
ジュースを飲み
おかしを食べながら
やはり話題は今日の事になる。

『おれらの町って
千人もいないじゃん?
ってことは三年後は
みんないなくなんの?』


たしかに。
信二の言う通りだ。
おれたちの町は人口が
千人もいない小さな町だ。
ホントに1日に1人
殺されて行ったら
三年後には誰もいなくなる。


『でもこれで誰も
悪いことしなくなったら
この法律も
なくなるんじゃないの?』


あやかがポテトチップスを
食べながら話す。


『どうだろうな。
まだ何も分からない。
とにかくおれたちは
今まで通り何も悪いことせず
生活するしかないだろうな。』


おれはこう言いながら
色んな不安にかられる。
ここにいる4人ともが
そうだろう。


『夢ならいいのに…。』

りさがつぶやいた言葉に
沈黙が続く。




ピンポンパンポン。


家の外で大きな音が流れた。

おれは部屋の窓を開けた。


『こちら役場です。
みなさんにお知らせがあります。
今日からこの国に
新しい法律ができました。』


役場からの放送が始まった。

おれたちは黙って
それを聞いていた。


学校で聞いた内容と
同じものが流れていた。


おれたちに夢じゃないこと
認識させるには
十分すぎるものだった。