『ねぇけい。
これって夢じゃないんだよね。』

帰り道りさが口を開く。

『うん。
残念ながらな。』

『そぉだよね…。』


りさはまた俯く。

そんなりさの手を強く
握り締める。
おれにだって余裕はない。
それでもりさの前では
冷静な振りをした。
これ以上りさを
不安にさせたくなかった。



家に着きおれの部屋へと
りさを連れてく。

家は今誰もいない。

母親は仕事で出ている。
父親は離婚して
今は連絡すらとっていない。


部屋着に着替え
りさにジャージと
Tシャツを渡して
それに着替えさせる。


『あいつらくるまで
寝てたら?』

『寝ない。眠くない。
一緒に横になってよ?』


りさの言うままに
シングルのベッドに
横たわりりさを抱き込む。

眠くないと言っていたが
少し落ち着いたのか
りさは眠りに就いた。