“仕事終わった TELしていい?”

受信メールを確認してすぐに電話をかけるわたしは、ただの恋するオンナだ。

『―もしもし?』
わずかなコールの後に聞こえたその声だけで、胸が締め付けられる。
「お疲れ様。」
自分の声とは思えない、優しくて色気の秘められた声で、わたしは愛しいひとに話しかける。
『明日、行くから』
煙草に火を点ける音と共に、彼は言った。
「仕事、忙しいんでしょ?大丈夫?」
『息抜き』

ふふっと、どちらともなく漏れる笑い声。
彼が煙草を吸う姿が、リアルに頭の中で再現される。

「じゃ、いつもの場所で待ってる」
『ああ…じゃ明日。おやすみ。』

途切れたあとも、余韻が残る声