まおの掲示板は少し変わっていた。
「公務員の人希望○ワガママです○家事できます○」
俺はその頃、県職員、れっきとした公務員だった。伴侶を探す気持ちも微かだがまだ持っていた。
この○はなんだ?流行りか?といった彼女のセンスもそうだったが、家事をアピールし、公務員を指名する具体性にひどく興味を覚えた。どんな娘だろう?顔写真はアップしてなかった。自信のある女は堂々と顔出ししてたりするが、そういう手合いではなさそうだ。ともあれ彼女の申し込みのタブをクリックした。
OKの返事は直ぐに来た。早速、クレジットカードで手数料を払い、「交際」は始まった。いつも通り、携帯番号とメルアドを交換し、サイトを通さずメールをした。サイトを通すと料金がかかるのだ。まおからメールが届いた。
「申し込みありがと♪本気で結婚考えてるっちゃ。よろしくぅ(*^-^)ノ」
ノリはいい。良すぎて不気味な程だ。試しに写メを要求すると、「こんなのでごめんね」とのコメントと共に、これまた直ぐに送られてきた。開いてみてたまげた。濃い化粧にピースして映っているその少女はいわゆる「ギャル」だったが、丸顔が少し下膨れ気味ではあるものの、クリッとした大きな瞳に色白の整った顔立ちは美少女と言っても言い過ぎではなかった。
「まおは美人だな。宇多田ヒカルに似てるか?」
「美人じゃないっちゃ(*^_^*)てか、宇多田ヒカル嫌いだし〜。今度ちゃんと写したのメエルする」
幾つかメールのやり取りがあった後、彼女の地元で会うことになった。隣の県だし、彼女には足がないから自然とそうなった。ウキウキする一方で話が巧すぎる様な不安も感じていた。