彼女に会うのは初めてだった。サイトで知り合ったその少女は「まお」と名乗っていたが、本名は知らない。そのうち判るさ、と気にもしていなかった。いや、名前だけじゃない、知らないことばかりだった。そんな相手に、リスクを冒しても会おうとしている。37歳のバツイチの中年男が18歳の少女に求めているのは、実のところ肉体的な欲求が主であったと今は思う。
知り合ったサイトは、結婚情報提供業者の運営している「お見合いサイト」であったが、それは建前で、事実上出会い系サイトであった。
初めて会った19歳の、ちょっと奥手な感じの女の子を、会ったその日に自分のマンションに連れ込み一夜を明かした。「簡単だな」と思った。素人の女性とセックスするなんて、とても難しい事だと信じていた。実際、それまで元妻を含めて数人しか女性を知らなかったのだ。それがこのサイトを使い出してから何か弾けた。かれこれ4ヶ月程で既に5人と寝ていた。最初は本当にパートナーを探してたんだ。本当に。それがいつか目的はセックスになっていた。「お見合い」という建て前が後ろめたさをカムフラージュしていた。罪はサイトが被ってくれていた。そして今また、俺はまおを次のターゲットにしていたのだった。