「はーい、終了ねぇ。一番後ろの人集めてぇ。」

「だぁーー!全然解けなかった!」

「超難しかった!」


私は一番最後の席だからテスト用紙を集める。


みんなほとんど空欄ね。


「まだ授業は続いてるからねぇ?教科書の6ページ開いて~。この数式は…」


冴の授業はペースがすごく速い。


教え方はすごく上手だけど、黒板は書いては消し、書いては消しを繰り返す。


「この数式をぉ……矢野玲汰くん!はい、解いて~。」

「俺ぇ?………。」


不機嫌そうな矢野玲汰は無言でチョークを冴から受け取って、一回も消さずに答えを書く。