「あれっ、姫花と母さん一緒だ。」

あたしとママが家に入ると、お風呂からあがったばかりのお兄ちゃんが居た。

「そこで偶然会ったのよ。」

ママがそう言うとお兄ちゃんはどうでも良さそうに
「アイス買ってきた?」
と聞いた。

「こんな真冬にそんな冷たいもの買わないわよ。」

冷え性のママはそう言った。

「まじかよー。」

お兄ちゃんはそう言いながらリビングに入っていった。


その後は温かい豆乳鍋を3人で食べて、いつものようにバラエティー番組を見て、それぞれの部屋に戻った。

お父さんはいつも遅くに帰ってくるから食事は別々。

ちょっと寂しい気もするけど仕方ない。


ところで、あたしはママのことをママと呼ぶ。
でもお父さんのことはパパとは呼ばない。

理由は簡単。

お父さんはあたしの本当のお父さんではないから。
本当のお父さんのことをパパと呼んでいたので、なんとなくパパとは呼べなかった。
ていうか、呼びわけってのもあるかも。

別に新しいお父さんのことを受け入れられなかったとかじゃない。

正直言って深い意味は無い。
今からお父さんのことをパパと呼べと言われても、できるかもしれない。

でも紛らわしいからやめとく。