いつだったかクラスの男子に告白されたことがあったっけ。
ああ、中学卒業するときだ。


「三年間ずっと好きだった。今までは言えなかったけどもう卒業だから。会えなくなるって思った途端、離れたくない!って思って。」


普通の子だったらときめいちゃうとこなんだろうな~なんて思いながら、やっぱり無関心で客観的に見てる自分がいたことを覚えてる。

「あたしのどこが好きなの?」

そんなことを聞いたあたしに、その男子はこう答えた。

「皆に好かれてて笑顔がかわいいところ。」


よくそんな恥ずかしいことが言えたもんだな、と思いながらあたしは言った。

「つまり、周りのあたしに対する評価とあたしの外見が好きなんだ。」

冷めてんなーって思った。自分で。


あたしが無表情でそんなことを言ったから相手は何も言えなくなってた。
カワイソ。
あたしなんかのために中学時代カノジョも作らないで。

ていうか見る目ないよね。
あたしの笑顔なんて、表面だけの作り笑顔なのにさ。
皆に好かれてるのだって、変に嫌われてるよりずっと楽だから。


「さよなら。」

それだけ言って、あたしは中学の校門を跨いだ。