また年賀状をめくって、表を確認してみた



やっぱり、住所、書いてない



もしかしてわざわざ…




「俺、なんで…」




せっかくのメール、無視なんかしたんだろう




俺はその年賀状を持ったまま、ポストから離れて人気のないアパートの隅に行った



急いでアドレス帳から春菜の電話番号を探して、電話をかけた




トゥルル…
トゥルル…



呼び出し音が耳に聞こえる



5回目だった




『もしもし』



久しぶりの春菜の声が俺の耳から全身に震えた



「春菜…、ごめん、メール…。年賀状、その」



言いたいことが上手くまとまらないまま、口に出した


そのせいで、意味のわからない日本語になる




『あ、ちゃんと気づいてくれたー?良かったぁ』




相変わらず明るい声の春菜に、申し訳ない気持ちで胸が苦しくなった




俺は自分の情けなさに、自分を戒めたくなった



「わざわざなんで…、お前、来たの?」



電話越しに春菜は笑ってた


『行ったよー。だって住所わかんないんだもん!一応インターホン押したけど、出なかったから』



俺はぼんやりしたあの朝を思い出した