千秋は小さく口をあけた


「親の離婚が原因です」


不愉快そうに眉をひそめる千秋は、なんだかいつもより少し大人びてみえた



「離婚?」



「そうなんです。俺がまだ6歳の時に親、離婚したんです。けど、親は離婚って言わなかったんです」



「まだ小さかったから、本当のこと言わなかったわけだ?」



亮太が頬杖をつきながら、見透かしたような目で言う


千秋は頭を縦にふった



「だけど、そのうち成長するし、わかるじゃないですか。俺はなんとなく離婚したんだなって、理解してきました」




「春菜は?」



「春菜は…、鈍感だから気づかなかったんです。母親の言う話、ずっと信じて…。そんでクラスメイトの男子に言われたらしいんスよ。お前の家庭はおかしい、離婚したんだって」



俺と亮太は眉をひそめた



離婚…、その言葉を口にすると、砂を噛んだような不愉快な気分になる



初めてクラスメイトにそう言われた時、春菜はどう思ったんだろう



きっと春菜のことだから、それでも信じてたに違いない