春菜は今、またはいつか俺にとってそういう強がりな面を見せてくれるだろうか
そうふと思ったとき、春菜の携帯のバイブが鳴った
春菜は突然の呼び出しに、慌てた様子で携帯を開く
そして、呟いた
「あ、先生だ…」
俺はそれを聞き逃さなかった
あの若い嫌に爽やかな大人の男が、鮮明に頭に描かれた
春菜は俺たちに一言言い残して、席を外した
どうやら自室に行ってしまったようだ
「なに?先生って…?」
亮太が尻の後ろの床に手をついて、千秋に言った
「ああ、よくわかんないけど、春菜、学校の教師と仲いいから。なんとかってゆう部活の顧問だよ」
まさか自分の妹が、教師と学校で交際の噂が流れてるとも知らずに千秋は言った
俺はあっという間に不安に襲われた
リビングで電話してくれるなら、だいたいの会話の様子は把握できて然り気無く耳も傾けられる
しかし自室は二階
到底話し声なんか聞こえない
正直気が気でなかった
亮太は今度は俺を横目に言った
「そんで、波は春菜ちゃんが好きなのか?」