よく言う…
確かに世の中が物騒なのは、千秋が身をもって体験してるわけだけど
その物騒な世の中を、自分は平気な顔して好き放題やるくせに、妹には好きにさせないなんて
その妹は、兄を軽く睨んでからコップを口につけた
千秋の前だと春菜は色んな表情を見せる
実際にしかめっ面も怒った顔も、こうしてちゃんと見たのは初めてだった
「2人は付き合ってんのか?」
亮太の突然の質問に俺は面を喰らった
「いやいや、それはない!波さんは春菜みたいのタイプじゃないっスよね?」
俺と春菜が答える前に千秋が鼻で笑って、俺に同意を求めてくる
俺は戸惑った
「いや、まぁ、付き合ってはない」
俺はとりあえず事実を伝えた
春菜がタイプじゃないなんて、否定したかったけど調度いい言葉が浮かばなかった
春菜みたいなのがタイプじゃないと言われれば、そうなのかもしれないし、今まではギャルと付き合ってきたからそう思われても仕方ない
「ふーん。なのに仲いいのなー」
亮太が独り言のように呟く