俺は混乱していた



目の前のこの女は何がしたいんだ


本当に俺が好きなのか



この会話も態度も全部罠なのか



俺が考えていると、ロングヘアーは何かを察したように口を開いた



「別に普通の流れだからね」



「なにが？」



「あたしはあなたに、須釜から助けてもらったの。助けてくれた相手を、好きになるなんて普通じゃない？」



確かに客観的に見ればそうかもしれない



「けど、あんたの態度…、惚れてる奴に向ける態度？」



好きな人を目の前に飄々と「好き」なんて、言えるもんか


いや、普通だったら言えないよな



むしろ話をするのだって、自分自身をさらけ出せないものだし



ましてやキスをせがむなんて、ただの小悪魔のそれでしかない



ロングヘアーは何故だか呆れたようだった



「あたしはこれが普通みたい。好きな人の前にいるだけで顔赤くなっちゃう子とかもいるみたいだけど…。あたしだって意外なの」



「本当かよ。今までずっとこうなのか？」



俺が聞くとロングヘアーは、意味深に笑った