俺は圧倒されてしまった
よくもまぁその長い台詞を、一度も噛まずに言えたと思う
そしてよくもまぁ、視線を俺の目から一瞬も離さなかったと感心する
その恥ずかしげもない態度が、俺の不信感に繋がっていることロングヘアーは知らないんだろう
何も言わない俺に、ロングヘアーは覗きこむように見てきた
「ねぇ、どうなの?」
くっきりした黒目が、俺を見る
やっぱりこいつの目、苦手だ
俺はすぐに視線を泳がせた
「俺のこと、嫌いじゃなかったのかよ」
「嫌い…では、なかったよ。でも見るからに悪そうなんだもん。友達として春菜が心配だったの」
「にしても、余計なことしすぎだろ」
「だから悪かったってば!だって、春菜が大切なんだもん。春菜って色々鈍感だし」
「鈍感…」
俺はおうむ返しに呟いた
本当その通りだと思った
『愛ちゃんと付き合う気とかないの?』
俺の複雑な心境なんて知らずに、真面目な顔で聞く春菜を思い出して、胸がきしむ