するとさっきまで無垢な笑顔だった春菜が、何故か作り笑いのような不自然な笑みを見せた
「それから愛ちゃんとは、どうなの?」
俺はそんな春菜を不思議に思いつつ、答えた
「どうなのって…。別にどうもないけど」
「そうなんだ」
春菜はいつになく大人びた表情で、呟く
俺は胸がざわついた
まさか
まさかだけど…
「あいつが何か言ってた?」
春菜は困ったように笑った
そんな春菜に、俺はさらに胸がざわつき始める
「言われたのは、波くんのほうでしょ」
俺は頭の中で、呟いた
これは、やっぱり…
「あいつから、聞いた?」
春菜は小さく頷き、俺を上目に見た
「びっくりした。いつの間にかなんだもん。愛ちゃん、いつから波くんが好きになったの」
俺はそれを聞いて、血の気が引いていく感覚を覚えた
まるで全身の血が、地面に流れ出ていくような感じだ
春菜が知ったら…
春菜が知ったら…
「違うよ、冗談。だって俺、本当はあいつに嫌われてるよ」