私、神谷芽衣(かみやめい)と仁科律(にしなりつ)は一応世間一般で言う彼氏と彼女の関係だ。

彼はバスケ部プレイヤー、私はマネージャー。

律はバスケ部に入った時からずば抜けて上手かった。

一目見たときからきっと、もう心は彼に奪われていた。

だけど毎日彼を見ているとクールなくせに恥ずかしがり屋で、さりげなく優しくて。

そんなギャップをみて私の想いは募っていくばかり。

意を決して告白したのが高校二年の春。

案外あっさりオッケーをもらえた。

彼はやっぱり私が思っていたとおり、バスケのことになると熱くなる典型的なバスケ馬鹿だった。

律は本当に私のこと好きなのかな?

彼の中で私の順位は絶対二番目。

バスケのことは何よりも最優先だ。

だから離れるのがものすごく怖い。

今は毎日学校で会えるから、私のことを忘れないでいてくれている。

だけど、離れてしまったら私のことなんて忘れてしまうかもしれない。

本当は、行ってほしくない。

でも、私はバスケをしているときの律が一番好きだ。

だからG大学に行くことは律にとって絶対にいいことだ。

なのに、なのに私は心から喜ぶことが出来ない。

なんて嫌な彼女なんだろう。