あたしは恐かった。

今まで経験してきたどんなことより…

幼稚園のおばけ屋敷や
さっきのキッチンも
みんな比じゃなかった


全身で感じるこの恐怖に
あたしは耐えられなかった


悠はあたしの手を握ったまま
無表情でたっていた
あたしと同じように
恐怖を感じていたのかも知れない

ただただ恐くて恐くて
この場を離れたくて…



あたしは何も考えずに走った



行くあてなんてどこでもよかった


5歳のあたしには大きすぎる恐怖は
あたしを遠くへと走らせた




悠もこない
ママもパパも来ない




あたしは孤独だった。
まだ近くにママやパパはいる



でも孤独だった