「やけに真剣な顔をしてたけど、お袋に何言ってたの?」
それから霊園を出て、車に戻ると陽生がエンジンをかけながら私に不思議そうに聞いてきた。
ちょっぴり悪戯に口元を緩める陽生に私はん?と顔を上げながら
「内緒、陽生には教えない」
ニヤリと唇に人差指を当てて、悪戯な顔を返した。
するとそれを見て笑った陽生再び私の手を握りしめ、ゆっくり車を走らせる。
……そして、次に連れて行かれた場所を見た瞬間、私は歓喜あまってキラキラと驚きの声を上げてしまった。
「すご~~い!」
目の前に広がる鮮やかな光景。
それはここに来るまでの間に窓から何度も見えた光景で
オレンジ色に染まる夕焼けの空。
そしてキラキラと輝く神秘的な波の音。
まるで写真の世界にでも入り込んでしまったような感覚に私はうっとりと目を奪われる。