「ここって……」
それから1時間ぐらい車を走らせてたどり着いた場所…
そこは私が想像もしてなかった所だった。
ずっと海沿いの綺麗な景色を走ってたからもしかして海岸にでも行くのかな?と思った考えは全く違っていた。
「果歩、こっち」
陽生の左手にはなぜか途中立ち寄って買った花束が一つ。
そして車から降り、手を引かれて連れてこられたのはなんと、綺麗に並べられた沢山のお墓の前だった。
陽生は私の手を握ったまま天然芝で整えられた道をゆっくり進み、そしてある一つのお墓の前までたどり着くと、私に言った。
「よかったら果歩も手を合わせてやってくれる?」
その瞬間、すぐにこれが誰のお墓なのか分かってしまった。
だってそれは一目瞭然…
「お母さん……」
目の前にとびこんできた「椎名」という名前を前にして私は慌てて隣の陽生の方へ視線を上げる。