「と、とりあえず車に戻ろう!」
そんなこんなんで陽生を車に押し込むと、ホッと息をつき乱れた髪などを整える。
チラッと陽生を見ると、相変わらず甘ったるい表情を向けられていて、落ち着くどころか、ますます落ち着かなくなってしまう。
「ご、ご飯どうしようか?」
とりあえず話をそらしてみたものの、まだ時計を見れば夕方になったばかりだ。
お腹なんてちっとも空いてないし、それ以前に胸がいっぱいで何も食べられないかもしれない。
「ああ、それなら……」
すると、エンジンをかけた陽生が突然私の手を握って、ニッコリ笑う。
「これからちょっとドライブでも行こうか?」
「……ドライブ?」
「そう、付き合ってくれる?」
チュッと手の甲を口づけられた私は一瞬戸惑ってしまう。けれど、目の前の陽生があまりに楽しそうに目を細めるから、何も言えず顔を素直に縦に振った。