病院を出て、車に乗り込むととても気持ちのいい空だった。
私は思わず窓を開け、う~んと思いっきり深呼吸をすると、陽生がエンジンをかけながら優しい笑みをくれる。
「今日は絶好の入籍日和だなぁ」
「――うん」
確かに、雲一つないまっさらな空を目の前にして、そんなことを思わずにはいられない。
クスクスと、お互い同じ気持ちで目を合わせると、何だかくすぐったくて照れ笑いを浮かべてしまった。
すると、そのまま陽生の手が伸びてきて、後頭部をそっと引き寄せられる。
コツンと陽生の額が私の額に当たり、真っ直ぐな視線を向けられた。
「覚悟は、いい?」
そんなことを言われ、ドキリと鼓動が跳ねる。
だけど、私だって今日は言われっぱなしじゃないもんね。
もうすっかり心の準備はできていた。
「もちろん、陽生こそ今更やめるとか言わないでよ」
そう言ってしっかりと陽生を見つめ返し、クスリと顔を近づけた。