本当に穏やかな顔をした母が今度は陽生の方へと視線を向けた。


「陽生くん、改めて娘をよろしくお願いします。この子にはたくさん辛い思いをさせちゃったから、私ができなかった分果歩とお腹の子を守ってやってね」


「もちろんです。全力でお守りするのでどうかご安心ください」


「ありがとう。それなら心強いわね。きっと優も大喜びだもの」



優……


元気にしてるかなぁ。


今日はあいにく保育園で此処にはいないけど、近いうちにちゃんとまた優にも報告しに行かなきゃね。


今度ゆっくり会いに行こう。



そんな思いを秘めながら、私は母に婚姻届の証人をお願いを申し出た。


するとそれを快く受け取ってくれた母がなぜだか急に涙ぐみ



「やっと母親らしいことができるのね……」



そんなことを言うもんだから、歓喜あまり私も涙ぐんでしまう。


そんな言葉は反則だ。


そう思いながらも今までの記憶が甦ってきた瞬間、私は今までにない母への想いを募らせていく。