それから1時間ほどして後藤達が帰ると、ちょうど入れ違いのように陽生が帰ってきた。
そして一緒にお昼を食べてそこそこに入院してる母の所に向う。
そう言えば以前容体が急変したことがあったけれど、あれからなんとか持ちこたえて今はまた少し落ち着きを取り戻したようだった。
そのせいでだいぶ体力が落ちてしまったものの、それでもまだ会話ぐらいはできる気力は残っていてとても安心できた。
「あら、それはおめでとう」
病室に着き、今までのことを全部話すと、ベッドごと上半身起こした母がやんわりと笑ってくれた。
腕には痛々しく点滴の管が繋がれていて、だいぶやせ細ってしまった姿を目の当たりにして、胸がキリキリと痛む。
「それで?予定日はいつなの?」
「えっと10月の初めごろ、かな」
「へ~それは楽しみね」
照れ笑いを浮かべる私を見ながら、母が嬉しそうに笑う。
「いいじゃない、元気な子を産みなさい」
「ありがとう、祝福して……くれる?」
「もちろんよ。陽生くんが相手ならお母さんも安心して任せられるもの」