「……なに?やなの?」
「ま、まさか!」
じっと見つめられて、フルフルと頭を振った。
そりゃ……急な展開に正直驚いたけれど、
私だって早く陽生と本当の家族になりたいもん。
陽生がそう言ってくれるなら、そんなの嬉しいに決まってるじゃない。
「私は、陽生がそうしたいっていうなら別に……」
「じゃあ、いいんだな?」
コクリ、照れ気味に頷くと、陽生の顔がとても嬉しそうに華やいだ。
「よし、決まりだな」
「……でも、いいの?」
「当たり前、俺が一秒でも早くそうしたいんだよ」
ぎゅっと抱き寄せられて、戸惑う私。
照れながらも頷くと、なぜだかもっとぎゅーっと抱きしめられた。
「よ、ろしくお願いします……」
「ああ、急いで帰ってくるからいい子で待ってて」
やばい、ドキドキしてきたーー
だって今日の夜には「三月」から「椎名」に変わるんでしょ?
そしたら私達は正真正銘、本当の夫婦になるってことだもん。